西鉄さんと言えば、鉄道・バスネットワークを運営する大手私鉄として、地元の福岡県ではもちろんのこと全国で広く知られているかと存じます。しかし、それ以外にも数多くの事業を展開されていらっしゃいますよね。改めて、御社の事業概要についてお聞かせください。
西鉄さんと言えば、鉄道・バスネットワークを運営する大手私鉄として、地元の福岡県ではもちろんのこと全国で広く知られているかと存じます。しかし、それ以外にも数多くの事業を展開されていらっしゃいますよね。改めて、御社の事業概要についてお聞かせください。
はい。弊社は幅広く生活に根差した事業を行っています。北部九州を中心とした地域に根付いた企業の顔と、世界28ヵ国・119都市に展開するグローバル企業としての顔を持ち合わせています。
鉄道・バスによる運輸事業者として有名である一方、売上高構成比で見ると国際物流事業が約3割、不動産業が約2割と、意外かもしれませんが、いずれも運輸業より大きくなっています。
特に国際物流事業は業界で4位程度と存在感のあるポジションを築いています。他にも流通業やレジャー・サービス業等を展開しています。
恥ずかしながら、地元出身なのにそこまで広い事業展開とは存じ上げていませんでした。
そうなんですよ。祖業こそ北九州での電気軌道による運輸業なのですが、1940年代後半から70年代にかけて、国際物流事業・不動産事業・流通事業といった現在の主要事業の立ち上げと成長を経験しています。
そうだったのですね。御社には事業創造のDNAが流れ続けている、と。
だとすると、花田さんが所属されている「新領域事業開発部」は、まさにその重要な役割を担われている訳ですね。
ご指摘の通りです。部の名称がまさしくその役割を表しています。
もちろん弊社の既存事業においても各事業の周辺領域で新規事業に取り組んでいるのですが、我々は既存事業と異なる新たな領域に挑戦する部署です。2021年4月に設置された部署なのですが、その背景には、コロナ禍で既存事業が打撃を受けていることへの危機感の高まりがありました。
現在は新領域の中でも特に、「環境資源」「農水産」「ウェルネス」「地域ソリューション」の領域に注力しています。
「環境資源」領域では再エネ事業の動きが活発化しています。
弊社の「まち夢ビジョン2035」においても、再エネ電源の開発・活用・供給によって、持続可能なまちづくりに貢献することが期待されています。
具体的な動きとして、再エネ事業会社である自然電力様と「西鉄自然電力合同会社」を2022年4月に設立しました。
この設立を皮切りに、再エネ電源開発事業や系統用蓄電池事業、オンサイトPPA事業等々、各事業の立ち上げ・拡大が進展しています。
スタートアップ企業との連携は過去にも行ってきていたため、自然電力様との連携はスムーズに進められました。
再エネ領域での取組が数多く、かつ迅速で大変素晴らしいですね。
再エネ専業ではない企業でここまで注力されているケースは珍しいと思います。
例えば、2023年頃から九州電力管内では、再エネ導入量の増加に伴って太陽光発電所への出力制御がより頻発しています。
出力制御がかかる時間帯は売電ができなくなり、結果として収益が落ちてしまいます。弊社保有の太陽光発電所も例外ではありません。
この問題に対する解決策は、FITからFIPへの転換と、蓄電池の併設にありそうだという部分までは突き止めましたが、いかんせん前例のない状態であったため、そこから先の検討が難しかったのです。
そもそも、その解決策を実行すべきかという点から検討し始める必要がありました。
ここで第三者の力を借りたいと考え始めました。
なるほど。そこで弊社にお声がけいただいたわけですね。
第三者に期待した役割と、弊社と共に検討を進めるに至った動機は、どのような点にあったのでしょうか。
蓄電池の導入ともなると、各種メーカーや施工会社、行政機関、電力会社等、利害の異なる複数のステークホルダーとの調整・巻き込みが求められます。
また、導入に向けた検討課題として収益性評価・技術評価・許認可対応・電力取引等、広範囲になります。
そのような背景から、第三者には技術面でのノウハウと最新の電力業界動向への知見が網羅的にある点に加えて、適切な形でプロジェクトマネジメントを進められる点を期待していました。前者だけでも数が限られるのに、後者も満たせるようなパートナーはそう多くはありません。
そんな中、グリーングロースの河野さんを紹介してもらいました。
再エネの幅広い領域においてコンサルティング経験を積まれているだけでなく、事業開発のための伴走支援の経験も豊富とのことで、先ほどの条件を満たせるのではないか、と期待して、本件の検討支援をお願いしました。
ありがとうございます。そう言っていただけて大変光栄ですし、我々としてもご期待に添えるような支援となるべく、尽力いたしました。
我々は、市場調査のようなコンサルティングの枠に収まるのではなく、実行まで見据えた事業企画、協議・検討まで踏み込むことを重視しています。
FIP転換および蓄電池導入は貴社にとって初めての試みとなるからこそ、主要な論点を広く・丁寧におさえていくよう留意し、事業背景となるFIP制度の概要や出力制御の現状と将来推計の検討、そこから見えてくるリスクと機会を検証しました。
市場のボラティリティは当然あるものの、FIP転換・蓄電池導入による事業性評価も投資判断の上で欠かせない要素のため、シナリオ設定して提案させていただきました。
また、各メーカーへのヒアリングや施工会社との協議、自社発電所での実施以外のスキームの在り方等、プロジェクトをより具体化するためのアクションを一緒に進めさせてもらいました。
河野さん方から出てくるアウトプットには感心させられました。
まず最先端の領域において誰も答えを持ち合わせていない中、最新の業界動向や制度変更への対応、技術的な知見をお示しいただけたのは大変助かりました。
それだけでなく、弊社の状況を踏まえた適切な論点設定と丁寧な事実・論理の積み上げによって、納得感ある方向性を示していただきました。
また河野さんが意図されていた通り、広い範囲でご支援いただいたと感じております。検討領域の広さだけでなく、事業企画および評価、パートナーの選定と評価、政策動向の調査と、検討アプローチの幅も広かったように思えます。
特に業界ネットワークのご紹介や協議への同席等の、机上の検討だけではなく実行支援まで踏み込んでいただけた点に、信頼できるなという感触が得られました。
おかげさまで、我々の同事業への網羅的かつ実践的な知見を得られました。
FIP転換と蓄電池導入に向けて前向きに検討し始めることができ、かつ、今後何を詰めていくべきかがクリアになりました。
その通りですね。業界歴が長く、かつ事業開発を最前線で取り組んできた経験に裏打ちされたご支援だったと、振り返ってみて感じております。
そこまで褒めていただくと恥ずかしいですね(笑) ありがとうございます。
これまでのご支援で、河野さんをはじめとするグリーングロースの皆さんと、引き続きお仕事をさせていただきたいと思うようになりました。
業界への知見があるだけでなく、独立性をもって誠実・真摯に対応いただけるパートナーとして、信頼しております。
御社がリーディングカンパニーであろうとする意義は、業界にとっても九州にとっても大きいはずです。そのような御社のお力になれてうれしく思います。
弊社における再エネの取組は、2022年4月に西鉄自然電力が立ち上がったばかりで、まだまだ黎明期だと捉えています。
ある意味同じスタートアップのグリーングロースさんから刺激を多く得られています。福岡オフィスも開設されて九州へのコミットメントも感じますし、心強い限りです。
九州は再エネに関する課題が多いのですが、その分ポテンシャルが大きいことの裏返しでもあると考えています。
互いに刺激を与え合いながら、共に良い未来を創っていきましょう。
そのようにおっしゃっていただけて光栄です。
良い未来づくり今後とも、よろしくお願いいたします。