企業紹介
まずは、エネグローバル社の会社概要や事業内容を教えてください。
2014年に創業した太陽光発電専業のディベロッパー兼発電事業者です。発電所の用地開拓から設計、許認可取得、施工、運営・保守管理まで一気通貫で内製化しており、これまで茨城県を中心に設備容量(パネル容量)合計で約160MWの太陽光発電所を開発してきました。現在は、100MW超の太陽光発電所を自社保有しており、創業から売上・利益ともに順調に成長しています。
上野様が現在取り組まれている業務内容について教えてください。
執行役員として事業開発部長を務め、毎年50〜100MWの新規開発を行い、2030年までに合計1GWの太陽光発電所の開発を目指しています。事業部内に事業企画機能を持つ部署を立ち上げ、コーポレートPPAや系統用蓄電池などの新規ビジネスの創出も担っています。
業界で先進的な売電スキームによる電力供給開始に貢献
今回、グリーングロースの支援を受ける経緯について教えてください。
日本のカーボンニュートラル宣言以降、企業が再生可能エネルギー由来の電力調達を求めるニーズが高まり、これまでFIT制度を活用して発電事業を営んできた弊社に対しても非常に多くのお問い合わせがありました。企業側の再エネ需要に応えるためには、Non-FITやFIP制度を活用する形で最適なスキームを検討し、コーポレートPPAという新しいモデルに取り組んでいく必要がありました。
FIT制度と比較して、発電予測や計画提出等のオペレーションが発生することや、JEPXスポット市場の活用、小売電気事業者やアグリゲーター等の他プレイヤーとの連携が必要など、新たな検討事項が多く、当時は適した人材やノウハウが社内にありませんでした。
そこで事業企画を中心に外部アドバイザーを模索していたところ、再エネ事業全般においてハンズオン支援を得意とするグリーングロースに依頼するに至りました。
グリーングロースの支援内容について教えてください。
2022年10月から約1年超にわたって伴走してもらい、最初は非FIT売電スキームをゼロから立ち上げるために尽力いただいたり、その後は関東地方以外へ進出するための他事業者とのアライアンス推進や、系統用蓄電池事業の事業性評価など多岐にわたりました。
プロジェクトにおける具体的な関わり方としては、週次で定例会議を開催し、様々な電力取引手法の構造理解などの知見共有から、PPAに関するお問い合わせの精査、各種スキームの比較検討、協業先の選定など事業推進上のあらゆる論点を二人三脚で一緒に検討するという形をとりました。各社の提案内容が異なる中で、メリット・デメリットを分析することや、条件交渉のサポートなど、エグゼキューションの側面でもプロジェクトを精査してもらい、経営会議において社内意思決定のサポート等もいただきました。最終的には多数の提案の中からベストな協業先を決めることができ、無事にFIPを活用した電力受給契約やコーポレートPPAの締結に至りました。
またグリーングロースの特徴として、業界での豊富なネットワークがあり、弊社が東京電力管内を超えて全国での開発強化を図る際、地域で開発事業を営む企業の紹介やアライアンスの構築支援をいただくなど、自社単独では進められなかった連携があります。
その他、審議会の動向を詳細に把握されており、今後成長が期待される系統用蓄電池事業においても、事業性評価をサポートしてもらいました。各種メーカーへのヒアリングを実施し、CFモデルの構築、制度設計を見据えた今後の将来動向の共有を通じて、自社として市場参入を決めるに至りました。
複数のプロジェクトを同時進行で行いましたが、特に印象に残っているものなどはありますか。
最も大きな成果は、三井物産株式会社との電力受給契約を締結*できたことです。業界内でも事例の少ない画期的なスキームによる約9MWの電力供給を開始でき、非FITでの開発・売電の仕組みを実現することができました。実績が出たことで、社内に知見も蓄積され、現在は社内メンバーが2件目、3件目のプロジェクトを自ら進められています。新規性の高い取り組みであったため、業界の注目も得られ、コーポレートPPAの引き合いもますます増えています。
*プレスリリースはこちら専門知識を有するコンサルタントが徹底的に実行に向き合い、ゼロイチをサポート
今回の取り組みでグリーングロースの支援はいかがでしたでしょうか。
依頼して良かった点は2つあります。1つ目は、机上調査に留まらず、実行部分まで踏み込んでサポートを得られたことです。エネグローバルにとって最適なスキームやアライアンス先について真摯に向き合い、時には相手先との条件交渉にも踏み込んでくれるなど、事業化を実現するためにできる限り推進してもらいました。
2つ目は、支援領域の広さです。コーポレートPPAや系統用蓄電池をはじめ、国内で実績の少ない新規性の高い事業に対して、事業企画やCFモデル構築、各種パートナーの調査・選定、政策動向リサーチなど横断的に伴走してもらいました。発電事業者の視点のみならず、アグリゲーターや小売電気事業者、電力需要家など再エネ電力のサプライチェーン全体で各社のニーズや特徴を捉えているため、事業判断に必要な情報を十二分に得ることができました。
今後の弊社との取り組みに関する期待を教えてください。
これまではエネグローバル内での新規事業の立ち上げを支援してもらいましたが、コーポレートPPAなど新たなビジネスモデルを構築できた今、次はグリーングロース側で取引のある電力需要家との協業を視野に入れています。グリーングロースが再エネ調達支援などで接点をもつ企業に対してコーポレートPPAで電力供給することや、遊休地を活用した電源開発など協業できる余地は広がっていると思います。
また以前から連携を図っている全国エリアでの案件創出にも期待しています。弊社は国内有数の開発力を誇っていると自負していますが、この開発ノウハウを他電力管内で開発を行う事業者に対してアライアンスという形で広げていくことを検討しています。開発力や資金力に課題を感じている同業他社との共同事業開発や、系統用蓄電池事業の企画など幅広く協業の機会を模索していきたいと考えています。
我々はどちらかというと職人気質が強く、次々と新規案件の開発に夢中になってしまう性分であるため、外部企業との連携などをグリーングロースにご提案してもらい、弊社の開発力を非連続的に生かす座組みに期待したいです。
2030年までに1GWの太陽光発電所を開発し、国内屈指のディベロッパーとして業界を牽引する
今後の展望をお聞かせください。
脱炭素化の手段としての再生可能エネルギー電力のニーズにもっと貢献していく企業を目指しています。従来の地上設置型の開発が可能な敷地が少なくなっているため、営農型太陽光発電にも注力し、既に内製化しているEPC事業に加えて、営農部分でも農地所有適格法人を持ち、電源開発を加速させていきます。
また海外進出も視野に入れており、アジアを中心に別の国でも太陽光発電所の新規開発にチャレンジしていく予定です。創業当初から2030年までに1GWの新規開発を目指しているため、次々と発電所を作り、脱炭素社会を牽引する企業になれるよう、これからも事業展開していきます。
最後になりますが、グリーングロースの伴走支援をお勧めするとしたら、どのような企業でしょうか。
弊社と同様に、 FIT制度を活用して発電事業を営んでいる企業で、コーポレートPPAをはじめ新しい市場機会に関心はあるものの、自社単独では事業創出に苦労されている企業などに強くお勧めしたいです。
再生可能エネルギー業界は、脱炭素の潮流もある中で、制度設計が目まぐるしく変化しており、常に市場の最先端をキャッチアップし続ける必要があります。一方で弊社のように開発現場があり、発電所の開発実務にリソースを張っている場合、どうしても中長期目線での事業企画の優先度が下がります。グリーングロースのように常に網羅的に情報収集し、新しい事業機会を提言し、実行部分までサポートしてくれる会社がアドバイザーとして参画してもらえることは、自社の新規事業創出にとって非常に心強いと思います。